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| ■歌が上手なのか声が似ているだけなのか |
私は昔、あるバンドでボーカルをしていた。とはいえ、特にプロ、というわけではなく、地元でちょっとやっていただけのレベル。周りの人達と比べ、上手な自信はあるが、技術的に言えばまだまだプロにはほど遠いレベルだろう。 しかし、悲しいかな、最近、喉を壊してしまった。昔のような透き通った声が出せず、どうしてもしゃがれてしまう。高音になると声が裏返ってしまうこともあり、はっきりいって致命傷である。 今までの自分じゃない立場になると、初めて見えてくるモノがある、とはよく言ったモノである。自分が、こういう声になって初めて気がついたことの一つに、カラオケに行って「歌、上手だねぇ。」といわれる人達、というのはある特徴があるということ。確かに、ある程度の人達は実力でそういう言葉を勝ち取っている。しかし、ほとんどのそういう歌名人というのは、ただ、今流行っている曲のボーカルの声に似ているだけだったりする。 現に、一昔まできゃーきゃー言われていた自分も声も、いまとなっては誰も反応しない。別に歌の実力が落ちたわけでも何でもない。ただ喉の炎症のせいで声がしゃがれてしまっただけである。周りで「うま〜い」と言われている人達より、実力は数倍ある自信がある。しかし、それでも、もてはやされるのは周りである。 「周りは歌の実力を聞いているんじゃない、声を聞いているんだ。」別にひがんでいるわけではないのだけれど、そういう傾向にあるな、とおもった。だから、巷の歌名人達は、自分の声が似ている歌手の歌を好んで歌う。自分も昔、そういうことをしていた頃があったが、今となってはよくわかる。 表面と本質。歌に関して言えば、一般の人達は表面を見るのだろう。確かに、心を込めて歌うことに感動してくれる人達もいる。しかし、ほとんどの場合、声がすべて、曲がすべてなのではないだろうか?それは、少し悲しい事実で、なんとなく今の自分にはもどかしかったりする。 日本に帰国して本格的に喉を治そうとおもっている。そして、元に戻れたとき、自分は一体カラオケで何を歌うのか、ちょっと楽しみである。自分の声に似ている曲か、それとも自分が一番心を込めて歌える曲か。それは今はわからない。 |
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